『東急コミュニティー』が実施した今回のアンケート調査では、震災被害経験者と非経験者の回答を比較・分析することで、マンション居住者の災害対策における実態や毎日の暮らしのなかで実践すべき新たなポイント、さらにはマンション全体として取り組むべき課題も明らかになりました。
今回の調査には、今後起こり得る地震に対して「不安はあるが具体的に何をして良いのかがわからない」という方々にとっての、防災活動のきっかけや後押しになればという思いも込められています。
震災被害経験者と非経験者の「家庭で行っている災害対策」を比べてみました。その差が大きいものを見てみると大きく3つのカテゴリーに分類できます。まずは、何よりも家族の身を守る。そのうえで大事なことは、停止するかもしれないライフラインの代替を準備。さらに、被災後の生活でないと困るものや救援でも供給されにくいパーソナルな必需品を用意しておく。辛い震災被害経験がその後の備えに活きていることが伺えます。

震災被害経験者と非経験者の差が大きかったふたつの行動に共通するのは、被災した瞬間に自分や家族が「どんな状況に置かれるか」という可能性を広く想像する姿と、その時に「どう対処するか」を具体的に家族で語り合う姿。実被害を経験したからこそ築かれた事前に「シミュレーション」する習慣は、非経験者にとっても身につけるべき重要なこと。せっかくの対策を本当に役に立つものにするために。

震災被害非経験者の「わからない」など「お手上げ」的回答が、震災被害経験者の1.6倍の大差。非経験者にとっては、なかなか思いもつかないものなのかもしれません。それだけに、「もしも」の時の状況や行動の想定は、日常から強く意識しておかなければなりません。また被害経験者の回答には経験から得た教訓・知見が活きています。非経験者に比べて全般的に行動の内容がより具体的で現実的な傾向にありました。

近隣世帯に対する思いを聞くと、災害発生時に「助けたい」という回答が約8割。潜在的な「共助」意識の高さが見えました。一方で「助けてもらえる期待」が50%を下まわり、生活環境に対する不安な気持ちも感じられます。
また、住むマンションの規模別に集計したデータからは、管理組合主催のイベントや防災・避難訓練などへの参加について、500戸以上の大規模マンションの数字が最も高いという結果が出ました。さらに、管理組合・管理会社が推進する防災に関する各種の活動に対しても、大規模マンションの認知度の高さが際立ちます。
ここに見える「共助」への不安解消のヒント。大規模マンションの多くには、『東急コミュニティー』を含む管理会社によるサポートもあり、管理組合による運営やマネジメントの体制が機能しやすいことが考えられます。
「助けたい」を「助け合う」に。そのためのコミュニティーとしての仕組みの整備。そして、住民間のコミュニケーションの活性化や場づくり。マンション「共助」の大きな取り組み課題です。



調査結果からは、
震災被害経験者がその体験からの学びに基づき、防災への対策をより具体的に心掛けている一方で、
一般生活者の意識は全般的にまだまだ低く、対応も不足している事実が明らかになりました。
また、より良い「共助」の構築に向けたヒントも伺えます。
大規模地震はいつ起きてもおかしくありません。
仮にマンション自体が倒壊しなかったとしても、生命の危機にさらされる状況は必ず起こります。
また、設備やライフライン、周辺環境の損傷などによっては、たちまちその後の生活に大きな影響を及ぼします。
改めてその予測が極めて困難であることも公式発表された震災。
イザというときに備え、少しでも不安を軽減するために、
もっともっと本気で「防災」に目を向け正しい準備をするべきなのです。

今回の調査結果から、震災体験の有無に関らず、マンションに住まう人々全般の防災に対する意識や備えが、思った以上に不足している状況が明らかになりました。
近年の震災の経験を踏まえ、防災に対する考え方が、直後には機能しにくい行政による「公助」から、個人や家族で対応する「自助」と近隣で団結し助け合う「共助」を重視する方向に変わりつつあります。
現在わが国は大きな地震が頻発する時期を迎えており、いつ大地震が起きてもおかしくありません。効果的な防災対策の実現には、災害時に直面する状況の理解が不可欠です。理由は、人間は想像できない状況に対して、備えたり対応したりすることが出来ないからです。もちろん当事者意識も持てません。ゆえに、地震発生時の季節や天候、時刻や居住環境、立地・周辺事情、さらに時間経過とともに変化する災害状況を正確に想像する力「災害イマジネーション」が必要になるのです。
日頃から災害時の状況をシミュレーションする習慣を持ち、より精度の高い状況認識に基づいて、世帯やマンションごとでも変わる 準備すべきコト・モノを具体化し、実効性の高い事前対策を備えておくべきです。
その際には、自分と家族の身体と生命を守る。つまり“災害発生時に生き残る”ことを最優先に考えること。
家具・什器の転倒やガラスの破損・飛散防止。安全確保のための防災用品の常備。家族間での初期行動や安否確認方法の共有。マンション周辺の被害予測に則ったより危険性の低い避難場所・経路の確認などが大切です。
住まいの条件や家族構成でも変わる被災後に必要となる備蓄や準備も、災害時用に特別に用意するのではなく、日常生活用の常備品を循環させて活用する循環型備蓄として、効率的に確保・更新していくべきです。
プライバシーや防犯などの観点から住民同士が顔を合わせにくい設計のものが増えつつあるマンションでは、特に「共助」が課題となります。管理組合や自治組織による定期的な防災訓練の実施と参加を促進する、住民同士が交流できる機会を増やす、といったコミュニティー意識の醸成に向けた活動。さらには有事の際に、設定した対策・計画をきちんと運営する体制や外部からの支援をスムーズに受け入れるためのマネジメントスキルも求められます。
災害対応力の高いマンションは、そこに住むこと自体がブランドとなり、経年による資産価値の低下も起こりにくくなります。
マンションにおける防災対策の強化は、今やコストから“バリュー”へと確実に変わりつつあります。
正しい予測と自覚に基づき、マンション単位での「共助」、世帯単位での「自助」の視点から最適な防災対策を考える『戸別防災』(こべつぼうさい)が安心・安全への第一歩なのです。
マンションにお住まいの方々の暮らしを守るために…
「自助・共助」による自立した実効性の高い防災活動を実現するためのサポートを。
それこそが「ライフタイムマネジメント」をめざし、
業界に先駆けて防災対策の見直しに取り組んだマンション管理会社としての、
『東急コミュニティー』の活動であり使命であると考えています。

管理組合様、並びにマンションにお住まいの方々の防災意識の醸成と実効性の高い対策の構築、さらには災害時に機能する体制の整備をめざして。『東急コミュニティー』の「対災力」は、大震災を教訓に被災者の方々の声やニーズを反映した「マンション災害対策」のサポートサービスとして、2008年に業界に先駆けスタートしました。
単に備えるだけではなく、「地震対策マニュアル」の作成、防災備蓄品の備え、訓練の企画・実施、対策の検証を行うPDCAサイクルを導入。各マンションの特性や事情に合った提案やアドバイスを推進しています。
「公助」依存ではなく「自助+共助」の考え方を重視。
災害による被害や問題を最小化し 生きた初動を可能に。マンションライフの安心・安全をサポート。それが「対災力」。
『東急コミュニティー』の「マンション」の災害対策支援サービス『対災力』