
■ハンガリーパビリオンでは、IoTセンサーとデジタルツインプラットフォームによる施設管理システムを導入
東急コミュニティーは、2025年4月より大阪で開催されている「2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)」に出展中のハンガリーパビリオンの管理業務を担っています。ここでは、当社とTFHD digital株式会社が共同開発した最新のIoT(※1)センサー技術とデジタルツイン(※2)プラットフォームを組み合わせた「IoT設備異常遠隔監視システム」を導入しています。
このシステムは、既存の設備監視装置が設置されていない場所や異常検知機能が備わっていない箇所にも、簡単に後付けすることが可能です。さらに、仮設建物で解体撤去が予定されている場合でも、本格的な設備監視装置を導入せずに済むため、経済的でコストパフォーマンスに優れています。また、システム構築から設置までのスピードも強みであり、ハンガリーパビリオンへの導入は約10日間で完了いたしました。
※1:IoTとは、Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)の略で、さまざまなモノをインターネットに接続する技術です。
※2:デジタルツインとは、現実世界の建物や施設、都市空間などを双子のようにデジタル空間に再現する技術です。
■施設管理が紡ぐ国境を超えた繋がり

ハンガリーパビリオンの施設管理業務を通じて、ハンガリーの施設運営スタッフの皆さまや施工を担当した株式会社橋本組、TFHD digital株式会社の皆さまに当社の管理業務への関心を寄せていただき、2025年9月8日には、これらの皆さまを当社研修施設「NOTIA」にお迎えし、知識の共有や施設の視察を実施しました。
座学では、ハンガリーパビリオンの施設運営にあたり、トラブルを迅速に発見し、すぐに対応するためのIoT設備異常遠隔監視システムの活用について解説しました。また、他の施設で実施しているDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の事例についてもご紹介しました。
■環境配慮型の研修施設「NOTIA」

研修センター「NOTIA」は、「実践」と「協調」を重視して設計された、環境先進管理の拠点です。省人化や省エネを目指した運用技術の検証だけでなく、最新の建築設備を導入し、建物の環境性能を最大限に引き出しています。
例えばNOTIAでは、少ない電力で建物を涼しくするために、地下100m以上まで配管を通し、地中の冷たい熱によってコンクリート躯体を冷却しています。また、中間期には、季節風を効率よく取り入れ換気に使用できるよう、窓を対角線上に配置するなど、細やかな工夫が施されています。さらに、ダクトは用途ごとに色分けされており、設備機器もスケルトン仕様で内部の仕組みを見られるため、利用者が実際に設備や仕組みを観察しながら学べる環境が整っています。当日の視察では、参加者の皆さまが施設のさまざまな仕掛けや工夫に関心を持ち、積極的に質問をされる姿が見られ、知識を深められていました。
■施設管理から生まれる共創と持続可能な未来へ

視察の最後には、当社が取り組んでいる「サーキュラーエコノミー(資源の有効活用やリサイクル・再利用によって廃棄物を減らす循環型経済)」の取り組みについてご紹介しました。各社のご挨拶の中で、ハンガリーパビリオン館長のルカーチ・イシュトヴァーン氏は、「万博は、世界各国の技術や芸術、文化が集う素晴らしいイベントです。国境を越え、人と人とがつながる場でもあります。また、サーキュラーエコノミーのような環境意識を持つことが非常に大切だと感じています。環境への取り組みは、国を超えて地球規模で考えなくてはなりません。この出会いを大切にし、共により良い世界を創造していきましょう。」と述べられました。
施設管理の視点から、持続可能な資源活用や循環型経済の実現は、これからの街づくりに欠かせない重要なテーマです。東急コミュニティーは、不動産の価値向上を支援するとともに、事業活動を通じて社会課題の解決にも積極的に取り組む企業として、未来への責任を果たしていきます。
今回のハンガリーパビリオンの施設管理を通した交流は、国や文化の枠を超えて、持続可能な未来や共創について考える貴重な場となりました。このグローバルなつながりは、持続可能性を軸に、互いに学び合い、ともに社会の課題解決に向かって歩む大きな第一歩です。
私たちは今後も、施設管理の領域から循環型経済や持続可能な街づくりを推進し、共創によってともに価値を生み出しながら、より良い未来の実現を目指してまいります。
