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築30年マンションの改修工事の特徴

建物は時間の経過とともに、メンテナンスが必要となります。
マンションの老朽化対策は社会的にも緊急課題となっています。

工事の特色と留意点

仮設工事(共通仮設・直接仮設)

工事内容によっては、前回の工事以上に仮設スペース、足場設置、養生、駐車場移設などが大がかりになる場合があります。例えば、扉・サッシなどの更新工事をするとなれば、新たに取り付ける扉・サッシの仮置場が必要です。

躯体補修工事・シーリング工事・塗装工事

大規模改修工事のなかでも非常に大事な工事で、コスト面でも予算の4~5割を占めますので、詳細な診断が必要です。マンションの劣化状況により工事内容・予算が大きく変動します。当然、劣化状況が進行しているほど、補修方法の検討等の課題も増えていきます。

躯体補修工事では、建物の亀裂、鉄筋の爆裂等を修復して、コンクリート、タイルの剥落防止、漏水の防止を行います。シーリング工事は、窓まわりや打継目地のシールから漏水を防止する工事です。塗装工事は、外壁や鉄部の塗装があります。

外壁塗装では、塗膜の付着力の低下、塗り重ねの限界があり、劣化状況によっては、いったん塗膜をはがして再塗装をしなければなりません。鉄部の塗装も、5年ごとに塗り重ねをしてきたとすると、すでに6回ほど塗料が塗り重ねられていることになります。鉄製扉などは塗料の厚みで開閉時にきしみが生じる場合もあり、その場合は既存の塗装を剥離して塗り直す必要があります。

防水工事

劣化部分が少ない場合、劣化部分のみ撤去して新しい防水材で補修し、全体を新しい塗膜で覆う被せ工法を用います。一方劣化部分が広範囲の場合は、すべての防水層を撤去する撤去工法を用います。屋上については3回目の全面改修時(築45年頃)に、撤去工法の採用を検討する必要があるでしょう。

スチール関係

築30年くらいで交換の検討時期となります。ドアは、枠の腐食や歪みにより開閉不良が起こります。この場合は開閉調整等で延命をするのか、交換をするのか、検討が必要となります。

交換方法には被せ工法と撤去工法があり、撤去工法には引き抜き工法とはつり工法がありますが、騒音、ホコリなどの点では引き抜き工法の方が有利です。引き抜き工法は既存の枠を機械で引き抜いて、新たな枠を作り扉を取り付けます。被せ工法では、既存の枠に新たな枠を被せて新しい扉を取り付けます。

工事は簡便ですが、新しい枠の分だけ開口寸法が左右1~2cm、高さ1cm程度狭くなるのが欠点です。一方、撤去工法は、新設時の開口部分の寸法が以前と同じというメリットがあります。

アルミ関係

アルミのサッシ、窓面格子、バルコニーの手すりなども半永久的なものではなく、点錆や美観を損ねたりの不具合がやはり生じます。窓のアルミサッシの交換では、居住者がお住まいのまま工事を行いますので被せ工法を用いるのが一般的ですが、開口部の寸法が左右、高さとも7cm程度狭くなるのが難点です。

給水管

更新か更生、言い換えれば交換か延命かを選択することになります。築30年を超えるマンションについては、その時点で詳細な調査を行い、再度ライニングができるか、あるいは交換をする必要があるかどうかを判断します。

全面的に更新(交換)工事を行う場合、隠蔽配管方式と露出配管方式があります。隠蔽配管方式は壁の中に配管を隠すため仕上がりは新築時同様ですが、費用、作業日数がかかります。露出配管方式の場合は、管が露出しますが、化粧用のカバーを施せば、美観を損ねません。

設備面については、交換部品の入手も困難であり、また、機能・性能も時代遅れになっていますので、交換せざるを得ないという事になるかと思います。

外壁塗膜剥離工事の実際と今後の課題

次に改修事例として、築31年時に外壁の既存塗膜を剥離し再塗装を行った例をご紹介します。

このマンションでは、今回が3回目の大規模改修工事となります。改修前に屋上および1階部分で塗膜の剥がれが散見し、既存外壁塗膜の付着力試験を実施しました。その結果、付着強度の判定基準を下回る個所が多く、既存の塗膜を剥離し、新たに塗装をすることになりました。

工法については、超高圧水で塗膜を削る洗浄工法と振動によって削る超音波工法が候補となりましたが、工費、工期、工事実績などから洗浄工法を採用しました。

洗浄工法は超高圧水を噴射し、衝撃・圧力によって塗膜を除去しますが、騒音や飛散物(除去した塗膜)の問題があります。工事の際はブルーシートで二重に覆い、音の小さなノズルを使用しますが、近隣への説明の際には1回目の大規模改修とは違い、工法及び飛散物の無害性、音の内容についても十分な説明が必要になります。

また、高い水圧により、弱い部分である打継目地やシーリング材が破断、雨樋のつまりによるバルコニーの冠水など、予想以上の漏水が発生します。雨樋は長年の枯葉やドロが溜まっており、その上に剥離した塗膜が流れますので、1階でいったん塗膜の受け皿をつくり、水だけろ過した後で廃材を片づけなければなりません。また高水圧は躯体の表面を荒らしてしまいますので、左官補修も必要になります。

超音波工法は洗浄工法に比べ、工期は1.5倍程度になりますが、洗浄工法の場合の左官補修費や清掃、養生費などを含めるとコスト的にはそれほど変わりません。

これらのことから、実績や工期の課題はありますが、音、埃、臭いがなく、漏水、飛散物も発生しない超音波工法を主として、洗浄工法を併用する形が、お住まいの中で行う工事としては、お客様の不安感をなくし、安心できる最善の方法ではないかと考えます。

高度な技術力、改修実績のある専門家の存在が不可欠

築30年を超えるマンションの大規模改修工事にあたっては、継続できる専門委員会の設置、長期修繕計画の見直しによる余裕のある資金計画、改修履歴の整備、適切な時期に適切な工事を実施していることが前提であり、居住者への情報伝達も必要です。

そして何よりも、より高い改修技術力、提案力が要求されますので、改修実績のある経験豊富な専門家をパートナーとして選ぶことが不可欠であり、そうすることで建築と設備を考慮した総合的な修繕計画に基づく改修工事が実施できるのです。

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